2014年6月21日土曜日

愛する人を救うために「act FAST」2

日本版act FAST、世の中に広めましょう!

脳の血管を写す装置

脳の血管を写すにはMRIや造影剤を使ったCTが行われます。これらは外来で簡単に撮影することができます。
ただもっと細かいところまで写すにはカテーテル検査が必要です。
脳動脈瘤や血管奇形、脳梗塞など血管の病気から、脳腫瘍の手術前の検査として行われています。我々の施設でも新しい血管撮影装置があり、その画像はとても綺麗です。





rtPA療法の時間依存性、臨床で確認

急性虚血性脳卒中患者8万4439人のデータを用いて、遺伝子組換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(rtPA)療法の開始時期の違いによる有効性を後ろ向きコホート研究で検証。rtPAは時間依存的に転帰改善と関連し、治療必要数は治療開始が発症後1.5時間以内で4.5、4.5時間以内で18.0だった(オッズ比2.49、1.26)。
文献:Gumbinger C,et al.Time to treatment with recombinant tissue plasminogen activator and outcome of stroke in clinical practice: retrospective analysis of hospital quality assurance data with comparison with results from randomised clinical trials.BMJ. 2014 May 30;348:g3429. doi: 10.1136/bmj.g3429.

ステント型血栓回収器具を使用したカテーテル治療も再開通までの時間と再開通の程度が予後との関連が深いと言われています。今後の報告が楽しみです。

2014年6月19日木曜日

寄り道してかえりました

ビールが飲みたくて、中目黒で途中下車
タップルームでビールとピザ
美味しかった!

2014年6月14日土曜日

高血圧と心血管疾患の関連

英国の125万のデータ解析から、高血圧患者の心血管疾患の障害リスクを検討した報告がEleni Rapsomaniki氏らより報告されました。それによると収縮期血圧は脳出血や狭心症に、拡張期血圧は腹部大動脈瘤、脈圧は末梢動脈疾患(PAD)に強く関連。
脳卒中との関連としては、収縮期血圧高値と最も強く関連したのは脳出血[SBP20mmHg上昇ごとのハザード比(HR)1.44, 95%CI 1.32~1.58]、くも膜下出血(同1.43, 1.25~1.63)でした。
 また、この論文では心血管疾患の障害リスクは30歳の時に正常血圧で46%、高血圧だと63%と高く、心血管疾患の発症も正常血圧者にくらべて高血圧の方は5年も早くなる。
 ともかく、血圧の管理はいろいろと大切ですね。(Lancet 2014;383:1899-1911より)

2014年6月13日金曜日

頚動脈狭窄症の治療はまずは合併症のチェックと治療、抗血小板療法などの内科的治療ですが、脳梗塞を発症している場合や高度の狭窄の場合には、内科的治療に加えて頚動脈内膜剥離術や頚動脈ステント留置術といった治療が有効なことがあります。それぞれの手術方法について説明していきます。

頚動脈内膜剥離術(CEA:carotid endarterectomy)

脳卒中治療ガイドライン2009 より、
1.症候性頸動脈高度狭窄(>70%、NASCET法)では、抗血小板療法を含む最良 の内科的治療に加えて、手術および周術期管理に熟達した術者と施設において 頸動脈内膜剥離術を行うことが推奨される(グレードA)。
2.症候性頸動脈中等度狭窄では、抗血小板療法を含む最良の内科的治療に加えて、 手術および周術期管理に熟達した術者と施設において頸動脈内膜剥離術を行う ことが推奨される(グレードB)。
3.無症候性頸動脈高度狭窄では、抗血小板療法を含む最良の内科的治療に加えて、 手術および周術期管理に熟達した術者と施設において頸動脈内膜剥離術を行う ことが推奨される(グレードB)。
4.症候性頸動脈軽度狭窄あるいは無症候性中等度ないし軽度狭窄において、頸動 脈プラークの不安定化や潰瘍形成が認められる場合は、頸動脈内膜剥離術を行 うことは考慮しても良いが、それを行うことに十分な科学的根拠はない(グレー ドC1)。

手術技術、手術後管理が十分にできる施設で治療することが大切です。

1.全身麻酔をして頚部を切開、頚動脈を露出します。

2.頚動脈を一時的に閉塞して、切開を行います。

3.血流を流しておく為のチューブを挿入します。
これで、脳の血流はある程度確保されます。

4.動脈硬化病変(プラーク)を丁寧に剥離していきます。

5.奇麗にプラークを摘出できました。

6.後は血管を縫い合わせて、皮膚を閉じて終了です。

頚動脈ステント留置術(CAS: carotid artery stent)

脳卒中治療ガイドライン2009 より、
1.内頸動脈狭窄症において、頸動脈内膜剥離術の危険因子(表)を持つ症例に対し
て、頸動脈ステント留置術を行うことが奨められる(グレードB)。
2.内頸動脈狭窄症において、頸動脈内膜剥離術の危険因子を持たない症例において は、頸動脈ステント留置術を行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠は ない(グレードC1)。


現在症候性50%以上、無症候性80%以上の狭窄病変が適応となりますが、それぞれの治療選択は、狭窄の状況(狭窄部位、プラーク性状)、全身合併症などからそれぞれの治療に危険が伴う程度を評価、さらに術者の技量などを総合的に判断することが必要です。頚動脈ステント留置術では、狭窄部のプラークが柔らかく不安定な場合、曲がっている病変では危険が伴うと言われています。しかし、道具の進歩もともない安全に治療が行えるようになってきております。

2014年6月11日水曜日

頚動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)といわれたら。。

頚動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)

 脳が正常に機能していくには絶えず血液(酸素とブドウ糖)が必要です。心臓から送られる血液の約15%が脳に流れており、頚動脈は脳に血液をおくる大切な血管です。
この頚動脈に動脈硬化ががおこると、徐々に血管の内腔が狭くなり(狭窄、きょうさく)、脳血流が足りなくなったり、動脈硬化部分から血液の固まり(血栓)や動脈硬化の破片を脳へ飛ばします(これを塞栓といいます)。その結果、脳の血管がつまり、脳梗塞を起こします。脳梗塞はいったん発症すると様々な程度の麻痺や言語障害、場合によっては意識障害や知能障害などの後遺症を残し、車いすや寝たきりの生活を余儀なくされる場合も少なくありません。従って症例、脳梗塞の発症の可能性が高いと判断されるばあには、発症前に予防措置を講じて発症頻度を下げておくことが望ましいと考えます。
重要な事は、今症状があるかではなく、近い将来、症状を起こしてくる危険な状態かどうかです。

頚動脈狭窄症の治療

  1. 動脈硬化を引き起こす高血圧症、糖尿病、高脂血症などが無いかどうかを評価し、動脈硬化がこれ以上進行しないようにこれらの病気を治療することが非常に大切です。
  2. 頚動脈狭窄症の方は脳梗塞を起こすだけでなく、心臓の血管(冠動脈、これがつまると狭心症や心筋梗塞を起こします)や足の血行が悪くなる(閉塞動脈硬化症)などを合併される方もいます。これらの病気も命に関わる病気ですので、一度チェックすることをおすすめします。
  3. 頚動脈狭窄症による脳梗塞を起こすことを予防するには上記の合併症の検索や治療に加えて、血栓ができるのを予防する抗血小板療法の内服などの治療をまず行います。
  4. 頚動脈狭窄障害高度な場合や既に脳梗塞を起こしている場合には外科的手術(頚動脈内膜剥離術)やステント治療が有効です。


脳卒中後の自動車運転

道路交通法施行例第33条2の3では以下の病状がある場合には自動車運転の許可が制限されます。
てんかん
再発性の失神
無自覚性の低血糖
そううつ病
重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断または操作のいずれかに係る能力を欠くおそれがある症状を呈する病気

では、脳梗塞や脳出血の患者さんは病後自動車運転再開はどうしたらいいのでしょうか?
自動車運転再開の前提条件として
①医学的に全身状態が安定していること
②視野障害を認めないこと
③杖や装具を用いてでも屋外歩行が自立していること
④上肢が廃用手でも入浴以外日常生活動作(ADL)が自立していること
が挙げられるでしょう。
地方では自動車運転が出来ないと生活が成り立たないなどあり難しいですね。

”SolitaireFR”といってもカードゲームではありません。

SolitaireといえばWindowsに付属しているカードゲームを思い出すひとも多いと思いますが、今回のSolitaireFRは違います。脳梗塞の原因となる血栓を回収する新しい道具です。もうすぐ発売になる血栓回収デバイスのハンズオンしました。あとは発売を待つのみ、これでより多くの患者さんがよくなる可能性が高まります。
これはカードゲームのSolitaireです。時間つぶしには最高でした。

SolitaireFR、これで血栓を広げて血行を早期に開通させ、さらに血栓を回収します。
血管モデルでピンク色の疑似血栓(スライム)を捕獲中!



2014年6月10日火曜日

日本の脳梗塞治療〜血管内治療〜

脳梗塞は脳の血管が詰まって、その先の脳に栄養や酸素が行き渡らなくなり、脳細胞が死んでしまう病気です。血行を早期に再開通させる為に、血栓を溶かす薬の点滴やカテーテルによる治療をする場合があります。どちらも脳梗塞になる前になんとかしなくてはならず、時間との勝負です。2014年7月に血栓を取り除く新しい機材が日本にも導入されることとなりました。まだ、こういった新しい治療ができる施設は極限られています。我々の病院では常勤の脳血管内治療専門医がこれらの治療を担当していきます。

愛する人を救うために「act FAST」

愛する人を救うために
act FAST
脳卒中の対応は、症状がでてから出来るだけ早く治療開始がされることが、寝たきりや後遺症を残さない重要なポイントです。それにはまず、「脳卒中かも?」と本人や周りの人が気づいてくれることが非常に大切です。
今回は、「脳卒中かも?」と疑うポイントをご紹介します。ポイントは4つです。
  1. 顔(Face)。笑ってもらったりして、片方の顔が下がっていませんか?
  2. 腕(Arm)。両手を上げて、片方の手が下がってきませんか?
  3. 話し方(Speech)。簡単な文章をいってもらい、ろれつが回っていなかったり、文章を正しく繰り返せますか?
  4. 時間(Time)。これらの症状がどれか一つでもあれば、時間勝負!すぐに病院を受診してください。


脳卒中ってなに?


脳卒中の最前線をご紹介するブログを作ってみましたが、まずは脳卒中についてのご紹介を使用と思います。

脳卒中とは

脳卒中とは、脳の血管がつまったり、その先の脳細胞に栄養が届かなくなったり、細胞が死んでしまう脳梗塞や、脳の血管が破裂したりすして脳を壊してしまう(くも膜下出血、脳出血など)病気のことです。急に倒れて意識を無くしたり、半身のマヒが起きたり、ろれつが回らなくなったりする発作を起こします。現在日本の死因の第4位、寝たきり老人の40%を閉めており、この病気にかかると経済的面・社会的負担大きくなります。