2018年8月28日火曜日

急性虚血性脳卒中へのアルテプラーゼ vs. アスピリン

軽症例のtPAの有効性と安全性についての試験(PRISMS試験)の結果がJAMAに報告されました。

Khatri P et al. Effect of Alteplase vs Aspirin on Functional Outcome for Patients With Acute Ischemic Stroke and Minor Nondisabling Neurologic Deficits: The PRISMS Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018 Jul 10;320(2):156-166. doi: 10.1001/jama.2018.8496.

米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)スコア5以下で明らかな神経学的後遺症のない急性虚血性脳卒中(AIS)患者281例を対象に、発症後3時間以内に投与開始するアルテプラーゼの有効性および安全性を第III相無作為化臨床試験でアスピリンと比較した(PRISMS試験)。 

 その結果、90日時の修正ランキンスケールスコア0-1達成率はアルテプラーゼ群78.2%、アスピリン群81.5%だった(調整後リスク差-1.1%、95% CI -9.4-7.3%)。治療後36時間以内の症候性頭蓋内出血(sICH)発生率はアルテプラーゼ群3.2%、アスピリン群0%だった(リスク差3.3%、95% CI 0.8-7.4%)。本試験は早期終了のため、決定的な結論には至らなかった。

軽症例ではアルテプラーゼの効果が出ないとのことですかね。

2018年1月18日木曜日

急性期脳梗塞、再開通の程度をどう評価する??

TICI分類 (TICI; Thrombolysis in Cerebral Infarction

Grade O  灌流なし
Grade 1 再開通あるも末梢灌流なし
Grade 2 部分再灌流
   2A 血管支配領域の半分以下の灌流
   2B 血管支配領域の半分以上の灌流
Grade 3 末梢までの完全な灌流

Tomsick, T. ea al: Am J. Neruroradiol., 29. 582-587, 2008

脳卒中の発症時間

脳卒中の治療、特に脳の血管が詰まって起こる「脳梗塞」は発症時間から早期に治療が行われれば改善するみこみが高いといわれています。
血栓溶解薬(tPA)では発症から4.5時間までに投与開始する必要があります。
夜明けごろに脳卒中が多いわけではありませんが、朝起きた時に呂律障害、麻痺が出現されている場合、発症時間が不明となり困ったことになります。
こういった場合には最後に元気であった時間が発症時間として治療が行われるため、例えば夜床に就いた時間が発症時間となります。こういった場合には、4.5時間を超えてしまっていると判断して治療を行います。
しかし、このような方の中には、実は4.5時間以内の方もいる可能性があります。
この様な患者さんを助けるべく、いろいろ研究がされています。