2015年1月30日金曜日

脳卒中、90分以内に治療を

米国心臓協会(AHA)は、軽度-中等度脳卒中の治療を発症後90分以内に行うことで、障害が残るリスクが大きく低下することを示した研究を紹介した。同協会発行のStroke誌に掲載。
 この研究は、欧州の脳卒中センター10施設で治療を受けた脳卒中患者6800人超を対象に行ったもの。脳卒中の治療には血栓溶解薬(アルテプラーゼ)静注を用いた。3カ月後、発症してから90分以内に治療を受けた患者では、発症後90-270分に治療を受けた患者に比べ、障害は大幅に減少した。
 重症度に応じて軽度(NIH脳卒中スコア0-6)、軽度-中等度(NIHスコア7-12)、中等度-重度(NIHスコア12超)に分類した場合、90分以内の超早期治療の利益が最も大きかったのは軽度-中等度の患者だった。超早期治療は軽度患者にも利益があったが、この重症度で障害が残る可能性はもともと低い。重度患者では動脈閉塞が強いため、超早期治療の利益はなかった。
 AHAおよび米国脳卒中協会は、脳卒中発症後3時間以内に受診することを勧めている。ガイドラインは、脳卒中に対する血栓溶解薬治療は、発症後最長4.5時間まで行ってよいとしている。

あなたのその症状、脳梗塞の前兆かもしれません!

「脳卒中治療ガイドライン(GL)2009」で、一過性脳虚血発作(TIA)の項目が新たに設けられ、「TIA発作を疑えば可及的速やかに発症機序を確定し、脳梗塞発症予防のための治療を直ちに開始しなくてはならない」とされました。本当にTIAであれば、5%の確率、すなわち20人に一人が48時間以内に本物の脳梗塞を発症すると言われています。
 我々の施設ではこういった、TIAの疑われる方に対し、脳卒中専門医がMRIを中心とした検査を行い、必要であれば入院により精査、治療を行っています。

初発TIA患者4,809例を対象に、ABCD²スコア別にその後の脳卒中発症リスクが検証され、スコアが高いほど脳卒中のリスクは高まり、特に6~7点の高リスク群では2日(48時間)後の脳卒中発症リスクが8.1%と非常に高いものであったことが報告されています(図)。TIAを疑った場合、迅速な評価、治療を実施するために、速やかに急性期の脳梗塞に対応できる施設に受診する必要があります。

こういった症状の影には、頚動脈が細くなっていたり(頚動脈狭窄症)、血管が詰まってしまっていたりなどの病気が隠れていることが少なからずあります。内服治療に加えた外科治療やカテーテル治療にて将来起こる脳梗塞を予防することが可能です。