発症3カ月後でも衝突が非患者の2倍に
脳卒中を起こされた後の自動車の運転をどう指導するか、大きな問題です。
松戸近辺では、交通の便がわるいところも多く、日々の生活に自動車が欠かせない方も多い。脳卒中後の運転再開については、問題が多いところです。
米国心臓協会(AHA)は2月11日、脳卒中後患者は運転ミスを起こしやすいとする2件の研究を紹介した。米国脳卒中協会の2015年度国際脳卒中学会で発表。
1件目の研究(abstract TP123)は、軽度虚血性脳卒中を発症して7日以内の患者10人を、年齢や学歴が類似した非脳卒中患者10人と比較したもの。被験者はドライブシミュレーションを用いて、通常の右左折、右側通行の場合は事故が起こりやすい交通量が多い場所での左折、持続した注意力が必要となるバスの追尾などの模擬運転を行った。その結果、脳卒中経験者は運転ミスの回数が2倍以上多かった。交通量の多い場所での左折の際にミスが多かったほか、バスを追尾している間にミスをする可能性が約4倍高かった。
2件目の研究(abstract W MP54)は、くも膜下出血発症後の患者9人と健康なボランティア9人の運転を比較したもの。患者は発症後3カ月以上経過しており、機能的に独立していた。ドライブシュミレーションを使った模擬運転では、患者は危険なミスをする回数が多く、衝突回数は2倍以上、車線を外れる危険性は3倍高かった。また、対向車がある場合の左折など最も知的に負荷のかかる運転技術でミスが多かったが、右側通行での単純な右折などの技術は健康者に劣らなかった。健康者の運転ミスは、主に速度超過によるものだった。
脳卒中後の運転に関する現行のガイドラインは、発症後最低1カ月は運転しないことを勧めているが、1カ月以内に運転を再開する患者は多いと言われている。さらに、脳卒中後患者の運転能力を評価するためのガイドラインには、安全に運転できない患者を客観的に同定するツールがなく、医師がアドバイスすることも少ないとの指摘もある。それぞれの研究者は、脳卒中後の運転に関してより明確な勧告を行うため、脳卒中後患者の運転技術の特性評価や大規模調査などさらなる研究が必要と述べている。