2014年9月11日木曜日

未破裂動脈瘤の破裂予測2

日本での未破裂脳動脈瘤の自然歴を明らかにしようとした研究に、Small Unruptured Aneurysm Verification Study (SUAVe研究)とUnruputured Cerebral Aneurysm Study Japan (UCAS Japan)がある。
【SUAVe研究】全国12の国立病院とナショナルセンターを中心に、2000年9月から2004年1月までの間、新規に発見された未破裂脳動脈瘤患者374例(448動脈瘤)の自然歴が解析されています(1)。
・全体の出血率は年間0.54%
 観察期間がながくなると年間の破裂率は低下していき、一定の値に収束
 破裂に関与する独立危険因子:高血圧、50歳未満、多発、動脈瘤径4mm以上

・脳動脈瘤増大率は年間1.93%
 増大の危険因子:女性、現在の喫煙、多発、動脈瘤径4mm以上

【UCAS Japan】日本の28施設において、2001年1月から2004年4月までに発見された未破裂脳動脈瘤患者5,720例(6,697動脈瘤)を対象にした研究(2)。
・年間出血率は0.95%
・破裂に関与する独立危険因子:ブレブ(*)の有無、部位、大きさ

<まとめ>
・日本人の未破裂脳動脈瘤の出血率は欧米人より高い
・未破裂脳動脈瘤の出血率は大きさ、部位により異なる。大きさについては大きいほど出血しやすい。日本人の場合、部位別では後交通動脈分岐部や前交通動脈瘤が出血しやすい
・部位、大きさ以外に出血率を高める因子としては、ブレブの存在、多発、高血圧、若年(50歳以下)などがある。
・観察期間が延長していくと動脈瘤の破裂率は低下していき、一定の値に収束していく傾向がある。すなわち、発見されてから数年間の経過観察で、形状や大きさが変化していない脳動脈瘤の破裂の危険性は低い


文献
1)Sonobe M et al: Small unruptured intracranial aneurysm verification study: SUAVe study , Japan. Stroke 41: 1969-1977,2010
2)  UCAS Japan Investigators; Morita A et al: The natural course of enraptured cerebral aneurysms in a Japanese cohort. N Engl J Med 366:2474-2482
未破裂脳動脈瘤のコイル塞栓術

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