2025年6月2日月曜日

心原性脳塞栓症の再発予防

 心原性脳塞栓症の要望は原因により異なるが、大部分が心房細動でありフィブリン血栓の予防に有効な抗凝固薬が用いられる。一方、血栓以外が塞栓しとなる左房粘液腫(腫瘍塞栓)、感染性心内膜炎(細菌塊)などでは抗凝固薬以外の治療が必要である。

【心房細動による塞栓症の治療】

  抗凝固薬

      1)非弁膜症性心房細動(NVAF): 抗凝固薬 DOACやワルファリン    

       2)心房細動をともなうリウマチ性僧帽弁狭窄症:ワルファリン(PT-INR 2.0-3.0)


左心耳閉鎖術/左心耳切除術

    1)左心耳閉鎖術:経皮的左心耳閉鎖デバイス(Watchman)、塞栓リスクの高いNVAFで、出血リスクが高く長期に抗凝固療法を継続することが困難な症例、デバイス血栓を防ぐため、術後1ヶ月半は抗凝固療法継続する必要がある。周術期合併症として心タンポナーデ、血栓塞栓症、デバイス塞栓

    2)左心耳切除術:胸部開放手術や胸腔鏡下手術

    3)カテーテルアブレーション:心房細動に関連した自覚症状の軽減や生活の質を向上させる効果があるが、脳梗塞や心不全を予防し生命予後を改善させる効果も期待されている。症候性もしくは徐脈頻脈症候群を伴う発作性心房細動、心不全(左質機能低下)を合併した心房細動で左房径拡大が高度でない場合に考慮される。

【機械弁置換術後】

    DOACは使用しないよう勧められている、ワルファリン(PT-INR  2.0-3.0)

【感染性心内膜炎】   

    抗菌薬を開始したうえで外科的手術の適応を判断する必要がある。

【非細菌性血栓性心内膜炎】

    担がん患者ではしばしば抗凝固更新状態が生じる。時に非細菌性血栓性心内膜炎をきたして脳梗塞を起こす。がん治療と凝固異常についてはワルファリンで管理する。

【左房粘液腫】

    下級的速やかに外科的切除

【その他】

    1ヶ月以内の心筋梗塞、28%未満の低駆出率を伴う陳旧性心筋梗塞、30%未満の低駆出率を伴ううっ血性心不全、拡張型心筋症、左室血栓なども抗凝固薬で管理をする。



0 件のコメント:

コメントを投稿