2025年6月6日金曜日

後脈絡動脈梗塞Posterior choroidal artery infarction

後脈絡動脈梗塞(posterior choroidal artery infarction)は比較的まれな虚血性脳卒中の一種であり、後脈絡動脈の閉塞によって発生します。この梗塞は通常、後大脳動脈(PCA)や上小脳動脈(SCA)の梗塞と共存することが多いですが、孤立して発生する場合、影響を受ける領域は以下のように限定されます:

  • 外側膝状体(lateral geniculate body):視覚情報の中継を担う重要な構造であり、損傷すると視野欠損(同名四分盲や水平セクター盲)が生じる可能性があります。

  • 視床枕(pulvinar):視覚処理や注意制御に関与し、損傷すると視覚認知障害が発生することがあります。

  • 後部視床(posterior thalamus):感覚情報の統合に関与し、損傷すると半側感覚障害が生じることがあります。

  • 海馬(hippocampus):記憶形成に重要な役割を果たし、損傷すると記憶障害が発生する可能性があります。

  • 傍海馬回(parahippocampal gyrus):空間認知や記憶に関与し、損傷すると神経心理学的機能障害(記憶障害や失語症)が見られることがあります。

このように、後脈絡動脈梗塞は視覚、感覚、記憶、認知機能に影響を及ぼす可能性があり、臨床症状は病変の正確な位置によって異なります。

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